



さまざまな解釈ができます。
1. 下顎=舌と解釈した場合
この場合は「舌の力を抜いて」という意味かと推察できます。しかしながら実際は舌の力を抜くと歌うことが出来ません。
では「舌の力を抜いて」とは何を示唆しているのでしょうか。
実は舌はノドを”吊り下げて”います。ノドは声の振動を生み出す場所です。
つまり、「下顎を動かさずに=舌の力を抜いて→ノドを動きやすくしましょう」と解釈できます。主に高音になるにつれて声が固くなる方や、aやoの母音の音がこもる方には有効なイメージワードかと思います。
2. 下顎=頭と解釈した場合
この場合は「頭を動かさないで」という意味かと推察できます。
しかしながら頭は、セミナーでもお話申し上げました通り、そもそも動きません。
解剖学に寄せて考えると、頭を動かすことは首の骨を動かすことと同義です。その首の骨の前にノドがあります。
ノドに余裕を持たせるには → 首の骨を前に突き出させないこと
首の骨が前に突き出る場面は → 頭を後ろに傾けている時
頭を後ろに傾けている時 → 高い音域を歌う時や急激にブレスを取る時
このように、頭の動きを「下顎」とご指導なさっているのかもしれません。
3. 下顎=左右の中心線と解釈した場合
この場合は「左右に身体をブラさないで」という意味かと推察できます。
鼻の下の縦線(=人中)と下アゴの先端(=オトガイ)は、多くの人は身体の左右の中心線の上に乗っています。
しかしながら、難しいフレーズを歌いこなそうと努力した時や習慣的に身体を揺らしながら歌っている場合、頭が左右にブレることがあり、全身の左右方向の中央線から頭がずれている事があります。
このブレは自然なものであり、修正する必要はありません。ただ、理想ではない声で歌っている時に、例えばいつも右側に頭が寄っているのであれば、「下顎を動かさずに=左右にブレずに」といった言葉になっているのかもしれません。
4. 下顎=噛む力と解釈した場合
この場合は「噛む力を緩めて、ノドの奥を動かしやすくしましょう」と推察できます。
噛む筋肉は、頬骨から下顎と、こめかみから頭の後ろの2箇所に大きく分かれます。
この噛む筋肉の力を、歌うために必要な力以上に使うと、結果的にノドの奥の空間を狭くしてしまいます。そうすると声がキンキンしたり、声の変化のバリエーションが少なくなったりします。
歌うために必要な最低限の筋肉の力よりも出してしまった場合、上記のような声の変化を招いてしまいます。そこで「下顎を動かさずに=噛む力を抜いて」といった言葉になっているのかもしれません。
以上、いくつか仮説をお伝えしましたが、他にもたくさん可能性がございます。
次回同じようにご指導を頂いた場合、「下顎の力を抜くとどのような声が出しやすくなるのか」を質問してみると、さらに良いご指導を引き出せるかも知れません。