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2017年マリエッラ・デヴィ―ア声楽マスタークラス⑩デヴィーア先生と大聖堂事件part 2

今年のデヴィーア先生のレッスンは彼女のご自宅で!! デヴィーア先生が、かなり元気な犬3匹と一緒に家のお庭で受講生をお出迎え。オペラ史に残る歌手なのに、全くそんな素振りがない先生はとても素敵。受講生一人一人と握手しながら軽い自己紹介。「xxxと申します」という受講生に「Ciao Sono Mariella 」と答える先生。受講生みな心の中で『存じあげております‼‼』と喜び叫んだはず。

まず先生がいつも驚かれることに、「なぜ質問に答えられないのか?」ということ。その質問の内容とは、
今、確実に音が変わりました、何をどのように変えてみましたか?
今の喉の感覚を説明してください。
今の方向性であってます。違いがわかりますか?
今、どの方向に音が通ったかわかりますか?
歌うときにお腹が震えているのですが、今までそのことについて自問自答したことがありますか?
パッサッジョの説明を受けたことがありますか?

などなど。このような質問をされるたびに、受講生側は『・・・・・・』となり、先生は「私の質問はそんなに難しいことなのかしら?また黙らせるような質問をしてしまった」と考えるそうだ。

確かに、デヴィーア先生の前で歌う緊張もあるので頭が真っ白になるのもわかるが、なぜこうも質問に答えられないのかと私も自分のことに置き換えて考えてみる。私が質問に答えられない時は、何かを漠然としている時かもしれないなと思う。確かに人それぞれの感覚はあれど、解剖学、音声学などに則って考え説明が出来ないということは、やはり何か曖昧なままで歌っているということなのだろうか。

デヴィーア先生も「今はインターネットなどで呼吸時の横隔膜の動きは映像でもみれるでしょう?」 「その筋肉は横隔膜と関係してないのに、なぜその筋肉の事を考えるのですか?」などなど。いろいろな情報や指導が受講生の頭の中で混乱しているのか、デヴィーア先生は「歌うことがこんなに難しいなら、だれも歌っていないわよ。もう少し体のことを勉強したらいいのでは?」というアドバイス。そして、「歌うことは格闘なの?」ともよくおっしゃる。確かに、デヴィーア先生の指摘から言われた箇所を直そうとすると顔は真剣になるが、先生が言いたいのは、「そのベースにあるのは歌いたい喜びのはず」ということだろうと思う。歌う喜びを持っていても先生の前では、先生が歌われる音と今まで自分たちが出していた音との違いにショックを受け、喜びも消えるのもたしか。。。

高音の扱い方、音の方向性など含めて今年もデヴィーア先生は本当によく歌ってくださった。先生はピアノの横にいらっしゃったので、先生が歌われるたびに音も、口の形も何一つ見逃さない思いでじーっと食い入るように見ていた私は、自然と先生が受講生にするアドバイスに合わせ私の口も縦に動き出す。すかさずデヴィーア先生から『歌う気?』と突っ込まれました。 息の吸い方も受講生の体を触りながら説明。(先生が息の説明のために受講生の体を触りながらまたご自分の体を触らせながら説明するたび、聴いている他の受講生は見える位置に移動、先生の体を観察です。デヴィーア先生曰く、音を押している歌い方が多すぎる、だそう。)

デヴィーア先生の経験からくる口の中にある音の存在を言葉で何とか説明され、音の方向性などがわかった受講生の声に『そう、それ!』と。そういわれた受講生は、その時には本当に口の中に何か柔らかい丸いものが常に回っている感じで、いつまでのどこまでも自由に声が出せる気がしたらしい。 デヴィーア先生が 『そう、それ!』という音を一度でもつかめた彼女は、イタリアに来る前はいろいろ問題があったが、デヴィーア先生とのレッスンで息、音が流れるようになり、自分が持っていた大きな問題の一つが解決した気がすると非常に満足していた様子。

受講生みなそれぞれ得るものがあったとても有意義なレッスンをここで全部書くのは難しい。今でも現役で歌われ、世界が認めたテクニックを持つ彼女から学ぶには4日間という期間は非常に短いけれども、その時間の中でいろいろわかったことがあるはず。そしてデヴィーア先生がいつもおっしゃること。『勉強、勉強、勉強、真摯に自分に向かいあって勉強』。常に自分に厳しく、自分の体、声の変化に合わせて勉強、研究し続けた先生をお手本にこれからも頑張ります! デヴィーア先生、4日間本当にありがとうございました!
ところで、タイトルにある大聖堂事件とは。。。 デヴィーア先生のレッスンに行く前に大聖堂で5人同時に発声、歌を歌っていたらその声の振動で、大聖堂の横にある美術館のセキュリティーアラームが鳴ってしまったわけ。受講生のやる気にあの方もさぞ驚かれた?



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