



● 耳管はどこにあり、何をしているのか
耳管は、中耳(鼓膜の内側)と鼻の奥(上咽頭)をつなぐ管であり、普段は閉じています。役割は、
・鼓膜の前後の気圧を同じに保つ
・中耳の中の空間の空気を交換する
です。普段閉じている理由は、余分な外の雑音や呼吸の音が中耳に入り込まないようにするためです。
● 耳管を動かしている筋肉
耳管は自然に開くのではなく、口蓋帆張筋(こうがいはんちょうきん)と口蓋帆挙筋(こうがいはんきょきん)という、軟口蓋についている筋肉が開閉を行います。
例えば
・あくび
・嚥下
・強めの発声
・顎を大きく開ける
などを行った際にこれらの筋が強く働くと耳管が開きます。
歌唱は、「顎(≒口)を開く+軟口蓋を上げる+舌根が後ろに下がる+強い呼気」が同時に起こるので、耳管を開ける条件がすべて揃っています。
● 歌唱時だけ左耳管が開きすぎる理由
左側だけ症状が出るのは、左右の構造や筋バランスの違いがあるかと思います。
例えば、
・ひだり側の口蓋帆張筋がより強く耳管を引っ張る
・ひだり側の耳管の軟骨部が柔らかく、みぎ側より開きやすい
・過去の炎症の名残で、耳管周辺の粘膜の張力が左右で違う
・顎関節の動きのクセが左右差を生む
といった要素があります。
“空気が入って涼しい”という感覚は、耳管開放の典型的な自覚症状です。
● “声が二重に聞こえる
耳管が開くと、咽頭(ノド)の空間の空気と中耳腔(鼓膜より奥〜蝸牛より手前)の空気がつながるので、鼓膜が、
・呼吸による気流
・自分の声による気圧の変化
に敏感になります。
その結果、
・骨伝導の声(御本人さまの身体の振動)
・気導音(きどうおん)(空気の振動=歌声そのもの)
のズレが強調されて“二重に響く”ように感じます。