
解剖学的な側面から見る、導入期の子供への指導について
- 導入期の教本について質問です。
子供用の教本では、真ん中のドから右手ドレミファソ、左手ドシラソファ(左右とも1から5の指)で始まるものが多く見られます。これは譜読みと打鍵を同時に定着させるための工夫だと思いますが、実際に指導していると、左右の親指(1の指)が同じ鍵盤に密集することや、発達途中の子供にとって親指から動かすことの身体的な難しさを実感し、現在はあまり使用しておりません。
導入期の子供の「手の解剖学的な発達」を考慮した場合、先生はどのような音域や指の順番(あるいはポジション)から学んでいくことが、身体に無理のない自然なステップだと思われますか? -
発育発達の観点から申しますと、人間は5の指側から発達していきます。例えば赤ちゃんがガラガラを握っている時、親指はガラガラの取っ手に巻き付いてはおらず、その他の4本の指側に添えてるだけになっているはずです。つまり「握る」という行為は、はじめは1の指は参加しづらいといえます。
しかしもちろん、様々なおもちゃや環境と相対することで、「握り」から「掴み」になり、「摘み」へと発達してゆきます。その中で1の指は、他の4本の指とは違う役割を学習してゆきます。
その観点から申しますと、その子がピアノを弾いている時以外において、どの程度正確に物を扱えているのかによって、1の指の発達度合いが想定できます。「摘み」まで自由にコントロールできていないにも関わらず、教則本の順番がこうだから、この番号まで出来たから次へ、といった進め方であれば、1の指の正確な動きは難しいかと存じます。
大人と同じサイズの鍵盤を、大人とは全く違うサイズの指で弾くのですから、そもそも身体的に無理があるのがピアノです。その点を踏まえた上で、難易度を決めてゆく必要があるかと存じます。






