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頭を垂れて演奏するピアニストについて

頭を背骨から外れて更に前に垂れて演奏する奏者は、どこで頭の重さを支えているのでしょうか?
また、なぜそのような姿勢でも軽やかに演奏することが可能なのでしょうか?

頭の重さは約4kg程度あります。
その重さが前に垂れていて「そこに留まっている」ためには、何かが「後ろの方向」に「引き下げている」、もしくは4kg以上の張力(ちょうりょく)で吊り下げられていると考えられます。
「積極的」に引き下げるには、筋肉を収縮させるか、頭と釣り合う重さを後ろに落とすか、という選択肢ができます。

筋肉で想定した場合、頭を後ろの方向に引き下げることが出来る筋肉は、意外と数多く存在します。そしてその中には肩甲骨を土台としているものも含まれます。
この点から仮説を考えるとするならば、頭を前に落とすことにより、頭の重さによって肩甲骨を安定させ、安定した肩甲骨から先の腕が動きやすくなった、と考えられます。

釣り合う重さを後ろに落とすと想定した場合、背骨を前後の中心として考えると、前に重たい頭がある場合は、後ろに上半身の重さを持ってくれば良い、ということになります。つまりこれが背中を極端に曲げて演奏する理由だと想定することが出来ます。

「消極的」に引き下げた状態を保つには、何かの張力を発生させている可能性があります。その何かとは、多くは結合組織(けつごうそしき)であり、線維(主にコラーゲン線維の役割)です。
この線維において、最も大きな面積を占めるのが皮膚です。つまり前に垂れた頭の重さの一部分は、首すじの皮膚のハリによって引き留められていると想定することが出来ます。

そしてそれ以上に強いのが「項靭帯(こうじんたい) / 棘上靭帯(きょくじょうじんたい)」と呼ばれる、背骨の後ろの尖りを上下方向につないでいる靱帯です。項靭帯は、頭の骨から7番目の頚椎まで上下につなげている、前後方向に非常に幅広い靱帯です。この靱帯によって、首を反らせるという筋肉の収縮が無くても首の骨が前に外れることはありません。また棘上靭帯は、頭の骨から骨盤までつながっている「靱帯の紐」ですので、骨盤さえ安定させておけば、棘上靭帯に重さを預けることが出来ます。この靱帯を使う二次的な効果として、棘上靭帯が張られると、背骨全体がピシッと動きにくくなるため、肩甲骨が動きやすくなり引きやすくなるという可能性を想定できます。

これらを総合的に想定してみると、思い頭を前に垂らせることにより背骨を安定させ、その安定した土台を用いて、動きやすい肩甲骨-腕全体を利用していると考えることが出来ます。

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