ビジョントレーニングの具体的な方法について
- 私は昔からミスタッチが多く単に練習不足と思っていましたが、ミスタッチの原因の1つが目の機能にあると知り、まさに目から鱗でした。
そこで、ビジョントレーニングの具体的な方法を幾つか教えて頂けると嬉しいです。 -
ピアニストのビジョントレーニングの目的は、譜面立てに固定されている譜面の情報を、どのような姿勢や位置からであっても、極短時間で正確に読み取ることにあります。日常的に取り組めるいくつかの訓練方法を例示いたします。
① 部屋の空間のあらゆるものに対して急激に視線を動かし、その物のディティールを瞬時に観察する
② 身体の前のあらゆる場所(みぎ上やひだり横 等)でトランプを瞬間的にめくって種類を読み取る。
③ アゴを机の上に置き、目だけを素早く動かして、様々な方向で止める。
いずれも遊びを含めながら取り組めるかと存じます。なお、ミスタッチの理由のひとつとして、深部感覚(しんぶかんかく)の低下も挙げられます。
深部感覚とは、関節や筋肉、皮膚といった構造物が、どれだけの「角度・速さ」で動いたか、いまどんな「角度・長さ」か、どれほど「変形」しているか、といった情報を脳に送る機能(フィードバック)の事をいいます。
このフィードバックされる情報が少ない、もしくは正確ではないと、脳は正しい(=演奏に期待される)動きを学習できずに、上達の速度がゆるやかになります。深部感覚の改善にはいくつか方法があります。
① あらゆる場所の皮膚を/あらゆる速度で/あらゆる方向に動かしておく。そうすることで皮膚からのフィードバックの情報量を増やすことが出来ます。
② 鍵盤を弾いている指の様子を、両目でじっくりと観察する。そうすることでフィードバックがより正確に強く行われます。
③ ピアノを弾いていない時は全身運動を心がける。そうすることで身体の中で動ける場所が多くなり、フィードバックの情報を増やすことが出来ます。ピアノを弾いているときだけがピアノの練習時間ではありません。普段の生活動作のすべてをピアノ演奏に関連付けてくださいませ。