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2015年マリエッラ・デヴィ―ア声楽マスタークラス ④ デヴィーア先生

午後はマリエッラ・デヴィーアの個人レッスン

日本、イタリアでのマスタークラスでも彼女の率直な言葉に泣いてしまう受講者もいるという。。。今回のマスタークラスはどうなることかと思いながらデヴィーア先生の到着を待つ私。4日間のレッスンで全ての問題が解決するわけではないけど、良い音、音の通る道、口の使い方など、なにか今後の勉強の方向性に役立てばと思っていたところ、イタリア人にはあり得ない時間正確にご自身のお車で到着。

ブラッチャーノ市副市長、文化部長もあいさつに駆け付けた初日のレッスンはみんな緊張~。

Photo by Giovanna Bonasegale

どの分野でも一流な人の姿勢には頭が下がる.デヴィーア先生が現在もオペラを公演されるということは、自分に真摯に向き合い、音楽に真剣に向き合ってきた結果だと思う。小さい時からオペラ歌手になることだけを夢見て、学校から帰ってきては木に登って常に歌っていた彼女。ミラノ・スカラ座のデビューも39歳の時で、現在のオペラ界の風潮からみればかなり遅いのも、彼女を知ればその理由もなんとなくわかる。有名になる事よりもいい歌が歌いたい、この思いのみで勉強、努力してきた彼女の言葉は時にはきつい。だけど、彼女だから言えること、音楽にいつも正直でいたい姿勢からも学ぶこともたくさんある。

ところで、デヴィーア先生には日本人の声は喉に張り付いていて、喉で全てを行っているように聞こえるようで、
「喉なはないものとして!顎を柔らかく!」 「息で全てするのよ!!」と。
音が通る道、軟口蓋の使い方、音の集め方など言葉で何とか説明しようとするデヴィーア先生だが、彼女が歌えば、一発で何を言いたいかわかる。耳で聴く、耳でわかる。まずはこれが大事。だからデヴィーア先生は受講者のマネが上手い。聴いていて、どこに音が当たって、何をしてそのような音になるのかすぐに分かるようだ。

今回、デヴィーア先生は本当によく歌ってくださった。彼女の音を聴くだけで、どの方向性で勉強しないといけないかがわかる。日本でなかなか聞けない『音』。日本でよく聞く音とこちらで聞く音は違うのだ。多分、このこともあってすぐに『耳』が変わらない、変えられないから反応ができないのかもしれない。

中音域は響いているのに高音になると途端に音色が変わってしまう参加者の体の使い方に興味を持ったデヴィーア先生が 「ちょっと触るわよ」といいながら腹部に手を当てたとたん,
「震えてる~!!どおして震えてるの??固い!里子、彼女の体震えてるのよ」と驚いていた。
その参加者に今度は自分の体を触らせながら歌っていたデヴィーア先生に「柔らかい~。震えてない!」と驚く参加者。

受講者の一人が綺麗な高音のドが出した時、「そう、その音」と言われ、その音が出たときの体の自由さに驚いて涙があふれ出た参加者も。言葉で説明することも大事かもしれないけど、実は体は私たちの『知識』よりもわかっていることがあるのだと思う。音を耳で聴きとって、それを求めていけば自然と体はついてくるのが理想なのだろうけど。いい耳をもってすぐに反応できる 感性、柔軟さが必要かな。

そしてデヴィーア先生がよく言うのが『日本人って頑固ね』
つまり、変わる気が本当はないのではといいたいらしい。。 発声などたかだか4日間で変わるなんて彼女自身も思っていない。だけど、何かわかって真摯に試そうとする姿勢、楽譜に忠実にいること(リズム曖昧さ、無駄なポルタメント、言葉の間違った入れ方、変なうなりを付けないなど)は注意していればその場でも修正できるはずと思うのだが、それも時には難しいようだ。これはおそらく、普段から自分がどのように歌っているかということにあまり意識が言っていないのだろうか。日本人の頑固さはどこからくるのか。。。私のピアノの恩師が言っていたのが『変わるには勇気が必要。なんか居心地悪いなと思っていても慣れた場所にいるのは安心なのよ。本物の道を探すのも大変。狭いし、根気もいるし、自分に正直にいなきゃね。』と。そうかもしれない。。

午後のレッスンが終わるたびに、『今日はどうだった。どこが変わった、どういう風にすればいいのだろうか』と、通訳をしてくれたローマ在住のソプラノ歌手吉川友里さんといろいろ試していた参加者。4日間でオーデションの録音テープを送ってきた時と同じ歌手とは思えないほど変わったのは事実。 これからの勉強にすべてがかかっているとデヴィーア先生のお言葉通り、今後の勉強に役立ててほしい、ただそれだけを願う私。
ハンガリーとチリからも聴講生が。4日間のすべてを聴講した彼女たち声も聴いたデヴィーア先生。このサプライズには聴講生もビックリでしたよ

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