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手首が反る癖を直すためには

手首が反る癖を直す場合、手の甲を上げるより、手の甲を下げる筋肉の方が発達している場合は、胸の筋肉を鍛えるとバランスが良くなるのでしょうか?それとも方形回内筋を緩める意識をした方が良いのでしょうか?

筋肉について改善を促すのであれば、以下のようにロジカルに考えてみましょう。

●現象:手首が反る
●原因:鍵盤の上面に対して手首が上下方向の空間において低い

●理由:
①首:やや後ろに反りがち
②指:曲げる力が弱い / 左右に開く力が弱い
③手掌:凹ませる空間が狭い / 手のひらが拡げられない
④手首:曲げる力が弱い / 反らせる力が強い / 小指側の力が強い
⑤前腕:必要以上に回内している
⑥肘関節:肘を伸ばす力が強い
⑦肩関節:後ろに引き込む力が強い / 脇の下が広い / 内側に捻り込んでいる
⑧肩甲骨:背骨に向かって寄せすぎている / 腰の方に落ちすぎている
⑨背骨:やや猫背になっている
⑩骨盤:後ろに倒れそうになっている
⑪股関節:しゃがむことが苦手なくらい曲げにくい

●根拠:
①首:肩甲挙筋-上腕三頭筋-尺側手根伸筋
②指:深指屈筋,浅指屈筋、背側骨間筋、小指外転筋
③手掌:母/小指対立筋、短掌筋、長掌筋
④手首:橈側/尺側手根屈筋、(長/短)橈側手根伸筋、尺側手根伸筋
⑤前腕:円回内筋、方形回内筋
⑥肘関節:上腕三頭筋、長指伸筋
⑦肩関節:上腕三頭筋、三角筋、大胸筋、広背筋
⑧肩甲骨:大/小菱形筋、僧帽筋
⑨背骨:最長筋群、多裂筋、
⑩骨盤:ハムストリングス、大殿筋
⑪股関節:外閉鎖筋、大腿方形筋、大内転筋

これらの筋肉が過剰に使われているか、もしくは十分な収縮が得られていない可能性がある。

●対処:1.-11.の全ての筋肉に対し動き方を提案するため、11の理由について生徒自身に確かめさせ、改善すべき点を明確にする。

1-11の考え方(=思考過程)は2つの学術体系に基づいています。
1つ目は機能解剖学です。
こちらの学術体系は、ある現象について、身体のつくりや動き、力学等から仮説を立てて、それを実証していく体系です。この点から申しますと、1-11においては誤りの仮説も含まれています。
なぜならば仮説を実証するためには、本人の観察が不可欠だからです。
つきましては、「手首が反る」という現象を起こすことができる可能性がある身体のつくりと動きを、できる限り洗い出し、一つ一つ検証する必要があります。
だからこそ11もの仮説が必要となります。

2つ目はFasciaに関する記述解剖学です。
記述解剖学とは、過去の人類の数えきれない解剖の結果から「人体とは概ねこのようなつくりをしている」という記録です。その中からFascia(≒筋膜)の物理的なつながりがある筋肉同士を採り上げています。
「手首が反る」という現象を起こすことができる筋肉を列挙し、その筋肉にFasciaで物理的につながっている他の筋肉を洗い出し、それらの筋肉が働いた結果の動きを分析することで、改善すべき筋肉を特定することが出来ます。
だからこそ11もの仮説を挙げることが出来ます。

以上の2点から、1-11の仮説は、信じるべき◯◯理論や私独自のメソッドでも何でもありません。機能解剖学や記述解剖学という、人類が積み重ねてきた知識に立脚した仮説に過ぎないのです。

以上が1-11の理論の考え方でございます。

目次
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