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腕立て伏せはピアニストに役に立つ?

だいぶ前に一時期師事していたピアノの先生(ある音大の先生)が男子生徒に、
腕立て伏せ(いわゆる一般的なやり方のもの)を100回とか(具体的な回数についての記憶は曖昧なのですが)、
とにかくたくさんするようにと指導していたのを最近思い出したのですが…
腕立て伏せをすることで養われる筋肉は主にどこになりますか?
また、その筋肉は、ピアノ演奏をする際にどのように役に立つのでしょうか?

腕立て伏せの動きを観察すると、

  1. 肩甲骨を前に押し出す筋肉を強く使う
    → 前鋸筋(ぜんきょきん)
  2. 肩の関節を前後に動かす筋肉をなめらかに使う
    → 三角筋(さんかくきん)・大/小胸筋(だい/しょうきょうきん)
  3. 肘の関節を伸ばす筋肉を強く使う
    → 上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)・肘筋(ちゅうきん)
  4. 手首を曲げる筋肉を使い続ける
    → 橈/尺側手根屈筋(とう/しゃくそくしゅこんくっきん)
  5. 背中の筋肉を強く使う
    → 棘筋(きょくきん)・最長筋(さいちょうきん)・板状筋群(ばんじょうきんぐん)
  6. お腹の筋肉を使う
    → 腹直筋(ふくちょくきん)・錐体筋(すいたいきん)・腹斜筋群(ふくしゃきんぐん)
  7. 股関節を曲げる筋肉を使う
    → 大腰筋(だいようきん)・腸骨筋(ちょうこつきん)・大腿直筋(だいたいちょっきん)・縫工筋(ほうこうきん)・大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)

といった動きが含まれています。
さて、これらの運動が、ピアノの演奏の何に役立つのかと考察すると、

1.に関しては、遠い鍵盤に正確に腕を持っていき、かつ腕の重さを支える土台をつくることができる。
2.に関しては、近い鍵盤においての正確な腕の位置を保つことができる。
3.に関しては、フォルテで鍵盤を落とす時に使いやすくなる。
4.に関しては、演奏する時の手首から手のひらの状態を保ちやすくする。
5.に関しては、演奏中に頭を安定させやすくなり、かつ上半身をピアノ椅子の上で適切に長時間保ちやすくなる。
6.に関しては、ピアノ椅子の上で骨盤の前後の調節が行いやすくなり、かつ呼吸のコントロールもしやすくなる。
7.に関しては、みぎ脚の重さをコントロールしやすくなり、つま先でのペダリングが行いやすくなる。
といった事が挙げられます。

いずれにしましても、ピアニストが取り組む腕立て伏せの目的は、「鍛える」という言葉から最も連想されやすい「筋肉の収縮力が強くなる」ではないはずです。ピアニストにとって「鍛える」とは、「関節を正確なタイミングでコントロールする”能力”を高める」という意味ですので、とにかく回数をこなせば良い、といったものではありません。

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